アンパンマンやなせたかしさんの本「明日をひらく言葉」
うちの息子(2歳)は、最近アンパンマンが大好きです。
テレビでもオモチャでも、アンパンマンを見つけると「アンパン!」って嬉しそうに指を指します。
我が家の上の子たちも、2歳くらいの時期はみんなアンパンマンが好きでした。
一歳の赤ちゃんの時期が終わって、初めて好きになるキャラクターはみんなアンパンマン。アンパンマンには不思議な魅力があるようです。
先日prime readingで、アンパンマンの作者の、やなせたかし氏の「明日をひらく言葉」を読みました。2013年にやなせさんが94歳で亡くなった時に、追悼記事を読んで、
アンパンマンが成功したのは、やなせたかし氏が70歳を過ぎてからと、かなり人生の後半になってから、というエピソードは知っていたのですが、それ以外の詳しいことはほとんど知らなかったので、興味深く本を読みました。
好きなことを仕事にする
私の世代(30代)だと、アンパンマンは自分が子どもの頃から既に幼児アニメの不動の王者のような立ち位置だと認識されていると思うのですが、アンパンマンだって最初からヒットしたわけじゃないんですよね。やなせさんは当時漫画家としてはほとんど無名だったそうですが、子供の頃から絵を描くことが大好きで、美術関係のお仕事などもされてきたそうです。やなせさんの人生の軌跡のストーリーを読むと、好きなことをコツコツと頑張り続ける勇気をもらえた気がします。
こどもはもっとも冷酷な批評家
以下は1番心に残った部分です。
「子どもの本はまず、子どもがおもしろがって読むものでなければいけない。
ただおもしろいだけではダメで、中に何か訴えるものがなくてはいけない。でも、教育の臭いがプンプンしてもダメで、エンターテインメント的な要素がたっぷり必要だ。表現や文字はやさしく、内容はしっかりとつくらなければいけないのだから、子ども向けの仕事は本当に難しい。」
毎日子どもと接していて感じるのですが、子どもの感性は正直です。面白いものは夢中になって聞くし、つまらなければすぐに飽きてどこかに行ってしまう。小学生くらいになると、退屈でも大人に「我慢して聞きなさい」とか言われると従うようになるんですが、幼児期はそんなの通用しません。
そして、ただ面白いだけではダメで、何か訴えるメッセージ性も必要、という言葉にも納得させられます。作品を楽しんだ後に心にいつまでも残るようなものは、作者の伝えたい強いメッセージがこもっているものなのでしょう。
「幼児は恐るべきところがある。純粋無垢で、まっすぐな目を持っている。気に入らない本は、容赦なく放り投げる。世の中でもっとも冷酷な批評家でもあるといえる。」
「そんな厳しい読者を相手に仕事をすることになって、「傷つくことなしに正義は行えない」というメッセージをはっきりと込めるようにした。正しいことに、大人も子どもも関係ないという考え方も貫いた。」
やなせさんが描くヒーロー「アンパンマン」は、飢えた人に自分の顔を分けてあげる存在です。自分の顔が欠けてしまったら、もう力が出なくて弱ってしまうアンパンマン。たとえ自分が傷ついても相手を助けたいと思うような、捨て身、献身の覚悟がなければ正義を行うことはできない、というのがやなせさんの信念だったそうです。
こどもにどんなメッセージを伝えたいか?私は日々の子育ての中で何を伝えるべきだろうか? 考えるきっかけになった本でした。