私はカナダのプリンスエドワード島に2回行ったことがあるくらい、赤毛のアンと作者のモンゴメリが好きです。
NHKで「アンという名の少女」Anne with an E が始まりましたね。今週は第二話が配信でした。感想を書こうと思います。
●昔、アメリカで友だちと観た思い出のドラマ
実は、私はこのドラマを見るのは今回が初めてではありません。
確か4年くらい前か? 当時夫がアメリカの大学院で勉強していた関係で、アメリカの学校の家族寮で暮らしていたのですが、同じフロアに住むアメリカ人の友だちのおうちでNetflixで視聴しました。彼女も赤毛のアンのファンで、話が合って、子どもが寝た後一緒にうちでドラマ観ようよ〜と誘われて。確か2話まで観たかな。
でも、お互い原作ファンなので、ドラマと原作の話の流れと違う部分が気になって、ケチをつけていた思い出があります(^-^; (原作ファンにありがち?)
今回久しぶりに視聴して、意外とすごく楽しめました!
●原作の映像化の難しさ
小説が原作の映像化って難しさがあります。ドラマの場合、尺が短いので、どうしても原作のシーンをカットして短くする必要があります。なので、多少の調整は仕方ないのかなーと思いました。映画だとドラマ以上に時間が短いので大変ですよね。
●ドラマのアンのセリフに感じた女性観
男の子じゃなくて女の子だからいらないと言われて、女でも農作業はできるわ!どうして女はダメだと決めつけるの?とアンが反論したセリフ。(うろ覚えです。すみません)
確か、原作にこういうセリフはなかったと思うんですよね。ドラマの製作者の人のメッセージ性と意図を感じました。
モンゴメリが生きていた19世紀カナダの田舎のプリンスエドワード島は、ガチガチの保守的な文化だと思われるので、男女差別(男ならこうあるべき、女ならこうであるべき、という固定概念)は色濃く存在したでしょう。なので、モンゴメリだったらアンにドラマの中のようなセリフを言わせるという発想を持つことはそもそも難しいと思います。
でも、赤毛のアンというストーリー全体を考えると、ドラマでアンに、あえてこのセリフを言わせたことは意義深いと私は思いました。
●「赤毛のアン」における女性意識と男性像の考察
赤毛のアンは、力のない1人の少女の成長と成功の物語です。女性だって努力次第で男性と同じように活躍する能力がある、というメッセージ性があります。
この作品の男性像の象徴はギルバートです。アンの最大のライバルであり後に結婚相手にもなるギルバート。興味深いことに、後のクイーン学院の入学受験で、アンはギルバートと同点1位(首席)になるんですよね。更に、卒業前にはアンはエイブリー奨学金を受賞し、一方ギルバートは確か金メダルという別の賞をもらいます。このへんの、ギルバートの立ち位置(アンと比較して学力は勝るとも劣らないという位置づけ)が、興味深く感じます。
おそらくモンゴメリとしては、アンを成功させるというストーリーが前提にありました。
孤児という不幸な身の上でも、アン自身の努力や内面的な魅力によって、成功を掴んでいくという物語です。
それと同時に、男性のギルバートにも魅力を持たせないといけません。第1作目では、二人はまだ恋人同士にはなっていないですが、ラストシーンはそうなる未来を匂わせる描写で終わっています。だから、読者を惹きつけるために、ギルバートは魅力的な男性キャラクターである必然性があるわけです。だからあえて、著者はアンとギルバートは同じくらいの学力にしたのかと思います。
もしモンゴメリが現代に生きていたら、どんな赤毛のアンになっていただろうか?
努力次第で、女性だって男性と同じように活躍できるーーー、
もしモンゴメリが現代の人で、赤毛のアンのような小説を書いたとしたら、「場合によっては、女性は男性以上に成功できることもある」というようなストーリーになっていたかもしれないな、と少し想像しました。アンがギルバートよりも抜きん出て一等賞になるという。ギルバートの魅力は学力以外の部分できちんと描写したら、ちゃんと小説としては成り立つと思うんですよね。
モンゴメリは19世紀のカナダで生きた人なので、当時の価値観が当然色濃く反映されていますが、もしモンゴメリが現代の人だったらどんな作品を書くのかな、と想像(妄想?)するのが楽しいです。
●役者さんについて。
アン; 赤毛で痩せっぽちな感じが原作のイメージと合ってますね。赤毛は地毛なのかな?可愛い。
マシュウ;思ったより若くて渋くてカッコいいマシュウでびっくりしました。原作のイメージだと、アニメ版のような猫背でずんぐりしたおじいちゃんだったので。二話の最後の馬で駆けるシーンは、そんなに元気なの?とビックリ。でもこのマシュウも魅力的でした。
マリラ;マリラもイメージより若くて美人さんでした。寝る前の髪を下ろしている姿は、少し色っぽく感じました(笑)アンにくどくど言うしかめっ面はさすがでした。
レイチェル・リンド夫人;このおばちゃんは元のイメージにぴったりでした。アンに暴言を吐かれて、怒ってグリーンゲイブルスを立ち去る瞬間は思わず笑ってしまいました。いつの時代も、リンド夫人みたいな悪気はないけど無遠慮なおばちゃんはいますよね。
ダイアナ;ふっくらしていて、上品な服を着たお嬢さん。当時の良家の子女はこんな服装をしていたのかしら、と感じました。アンの質素な服装と対照的ですね。
ドラマの中で映る、プリンスエドワード島の美しい風景が、なんといっても素敵でした。またいつか行きたいなぁ。というか、こんな美しい自然の中で暮らせたらいいのに、と思ったのでした。
この記事を書いた後に気付いたのですが、昔アメリカにいた頃ドラマの感想をブログに書いてました。すっかり忘れてたよ。。。